« 4-2 数字の感じ方 | トップページ | 5-1 はじめに »

2011年10月26日 (水)

4-3 統計的な考え方

姉「さらに少し、統計的な考え方についても話をしておきましょう」

弟「なんだか難しそうな話だね」

姉「難しい話はなるべく置いておきます。まず、先ほど、人間の数字に対する感じ方という話しをしましたが、人は頻度に対しては、感覚ではさらにあやふやな理解しかできないのです」

弟「うーん。例えば?」

姉「そうですね、内閣府がH22年11月に行なった少年非行に関する世論調査の結果を見てみましょう。この世論調査の結果では75.6%の人が少年非行が『増えている』と回答していて、『減っている』と答えた人は3%しかいませんでした。しかし実際には2005年から2009年の間に少年の刑法犯の摘発者数は3割近く減少していたのです」

弟「それって、摘発者数だから、つかまっていないだけで非行は増えているとか……」

姉「しか~し。同じ調査で、身の回りで実際に少年非行が起きていないと44.3%の人が答えていて、この数字は2005年の前回調査から10%近く増えているのです」

弟「ええ~。摘発者も減っているし、実際に非行を目にしてもいないのに、非行が増えてると思っているんだ」

姉「思い込みは本当に恐ろしいですね。そして、この思い込みの元になっているのは、人間の頻度に対する感覚の鈍さがあるともいえます。そういえば前もこうだった、ということがあったり、強い印象が残っていると、実際よりも頻度が高いように感じられてしまうのです。きちんと調べないと、落とし穴にはまるかもしれません」

弟「ちゃんと数字をみて考えるというのが、統計的な考え方なんだね」

姉「ものすごく基礎の基礎なんですけどね。もうひとつ大事な話があって、人は因果関係を感じてしまいがちであるということです」

弟「どういうこと?」

姉「例えば、世の中には『3た療法』というのがあります」

弟「サンタ療法?なんかプレゼントをくれたりとか?」

姉「いえいえ。『使った、治った、効いた』の3つの『た』からきてます。薬を使って、病気が治ったので、その薬が効いたと結論する怪しげな療法のことです」

弟「怪しげなの?なんかそれでいいような気がするけど……」

姉「薬を使ったことと、病気が治ったことが事実でも、実はそれだけでは薬が効いたかどうかはわからないのです。何もしなくても、病気が勝手に治ることはありますし、その薬以外の何か別のものが効いたのかもしれませんし、心理的な効果で効いたのかも知れません」

弟「むむむむ」

姉「もし、薬の効果を確かめようというのであれば、その薬以外の効果を差し引く必要があります。物理や化学の実験なら、実験条件を整えてあげることで、目的のものの効果だけを調べることができたりしますが、人の場合はそう簡単ではないので、統計のお世話になるわけです」

弟「そうなのかー」

姉「そうなのです。ここで考えなきゃいけないのは、何かをして、自分の狙った効果が得られたとしても、実はそれは『まぐれ』にすぎないのではないかということです」

弟「そこで統計を使えば大丈夫なの?」

姉「統計のほうが人の感覚よりはましなのは確かですが、一方で数字として出てしまうので、実際にはその数字の意味を考えるのは難しくても、安易な結論に結び付けられてしまったりもします。統計をきちんと使いこなすためには、修業が必要です。ただ、説明したように、統計がなぜ必要なのかという理由は知っておきたいですね」

弟「人の感覚はあやふやで因果関係を思いこみやすいから、何かが有効だって結論することには、慎重にならなければいけないということだね」

姉「そして、もう一つ考えておかなくちゃならないことは、統計的に有効だということが分かっていても、それがいつも有効だとは限らないということです」

弟「さらに慎重にならないといけないと」

姉「ここまで話してきたことは、専門ではない人が、他人に薬を勧めてはいけない理由でもあります。勧めた本人は薬だと思っていても、それは薬ではないかもしれない。本当に薬だったとしても、相手に効くかどうかはわからない。健康に関することも、金融に関することも、人の一生にかかわりかねないことですから、安易な助言は禁物です」

弟「良かれと思っても、自重しないといけないんだね」

>目次へ

« 4-2 数字の感じ方 | トップページ | 5-1 はじめに »

へっぽこ投資入門」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 4-3 統計的な考え方:

« 4-2 数字の感じ方 | トップページ | 5-1 はじめに »