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2011年10月28日 (金)

5-2 なぜ裁定のようなことが起きるのか

姉「もうちょっと、なんで裁定が行えるようになるのかを考えてみます」

弟「儲け話の真相に迫る……」

姉「裁定が行われるということは、そこに非合理的な値段が付いているということです」

弟「片方から買ってもう片方へ売るだけで、手間に見合ったものより多くの儲けが得られるんだものね」

姉「何故そうなってしまうかというと、当事者が非合理であると思っていないからです」

弟「……。ものすごく当たり前な感じの答えだね」

姉「こうなる原因には3パターンが考えられて、情報が得られない場合、情報があっても理解できない場合、それから、情報を理解できてもそれを元に行動できない場合があると思います」

弟「といいますと?」

姉「まず、情報が得られない場合ですが、そのひとつは市場がパニックに陥ってしまうような大事件のときなどです。みんながどのような価格が正しいのかわからなくなってしまって、時にはとんでもない価格が付いてしまったりします。もう一つは、誰も知らない情報を自分だけが知っているというパターンです。ほかの人はその情報を知らないので、正しくない値段で取引しているかもしれません」

弟「インサイダー取引は犯罪ですけどね」

姉「次に、情報があっても理解できない場合です。ありがちなのは、評価の難しいオプションなどを組み込んだ仕組債を、不利な条件であることを隠して素人に売りつけたりするものです(補遺参照)」

弟「……ひどい」

姉「この項目をあえて作るかどうかはちょっと迷ったのですが、詐欺的な話も気をつけなければいけないので、あえて入れてみました」

弟「そうなんだ」

姉「そして最後は、情報を理解できてもそれを元に行動できない場合です。歴史的に有名なのは、日本から大量の金が流失した幕末の通貨問題や、実勢以上に買い支えられていたポンドが売られたポンド危機が有名です。政治的な理由で裁定の機会が生じてしまっていたわけです。また、かつて、コバンザメ投資法といって、インデックスファンド(※注)の組換えに乗じて利益を上げようという方法が流行りましたが、これはインデックスファンドの投資行動が決まっていることで裁定の機会が生じたわけです」

弟「むむむ……」

姉「いろいろ挙げてみましたけど、大事なのは、裁定が生じるのには何か理由があるということです。そして、その理由が相手の落ち度であると確信できたなら、濡れ手に粟のチャンスです」

弟「……やっぱりひどい」

姉「気をつけなければいけないのは、片方を売ってもう片方を買えば裁定だと勘違いしないことです。本当にそれは裁定なのかと、小一時間問い詰められてしまいます」

弟「誰に!?」

姉「本人が裁定だと思っていても、山賊の話じゃありませんが、前提条件がひっくり返れば、それは裁定ではなく単なる投機です。LTCMの話などは、他山の石とすべきものです」

弟「そう簡単に儲け話が転がってるわけないよね」

※注 TOPIX(東証株価指数)など特定の指標(インデックス)と同じ値動きをするように運用するファンド。機械的に指標構成銘柄を買っているものが多い。日経225などの銘柄の入れ替えのときに、インデックスファンドは新規採用銘柄を買い、指標から外された銘柄を売ることが予想される。

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